2023年度総長会見について

 北海道大学教職員組合では例年、団体交渉などとは別に総長との懇談を行っています。今年度は2024年1月19日に実施されました。総長との懇談内容についてまとめたものを掲載いたします。


寳金総長の発言要旨
(2023年度北海道教職員組合との会見)

ラピダス・半導体研究について

 半導体事業にある程度のリスクがあることは理解。北大がラピダスと一蓮托生にならないようにしっかりと状況を注視する。一方で現時点では北海道にとって数少ないチャンスが来たとも認識。北大で半導体研究分野の学生定員を増やす計画はあくまで10年の時限措置。10年後に元に戻すのか、それとも他学部で増分を吸収するかは難しい調整となるだろう。人口減による大学に対する社会的な要請の変化や、欧米諸国に比べて少ない大学生の数の改善等、国の知の中心としての国立大学の役割にも関係する問題である。

防衛装備庁研究助成等

 研究が軍事研究と民生研究の両面的な要素を持つ中で、北大が扱うのはあくまで民生部分へとつながる研究の入口部分で、さらに研究の透明性が確保されるもの。軍事部分へいたる出口部分は大学の外で行い、軍事研究を北大で行わないという姿勢は今後も確実に保持する。この姿勢は西側諸国にある程度共通であり、北大もその大きな流れの中にいると理解している。一方で防衛装備庁関係研究を軍事研究と見なす組合からすると、これまで禁止されていた研究の門戸が開かれたと見えることは理解している。

超過勤務の問題

 年度末等に特定部局で過重残業があることは把握している。対策としてはまずDX化、そしてオンラインの働き方をしっかりと進めていく。

地方キャンパス

 森林技能職員の日給単価は40歳頭打ちの仕組みを平成28年度に改善して定年まで上昇するようにした。地方キャンパスやフィールド研究は北大にとって極めて重要。待遇改善は今後もしっかりと努めていく。

電気代高騰

 大変頭の痛い問題。部局が自由に使える研究経費が昨年度も大きく減少したことは把握。今や北大への運営費交付金の10%近くが光熱費になってしまった。次年度における文科省の支援も分からない状態。予算の柔軟な運用や部局配分の仕組みの改善で対応したい。また外部資金の堅調な増加と、土地活用や知的財産権保有といった経営的収入の活用を今後も継続する。また大学として自立的な電力供給方法を獲得することも視野に入れている。

非正規雇用

 雇用上限について北大は法律を遵守している。しかし上限撤廃の要望があることは理解。本学ルールとして部局が予算措置すれば上限を超えた雇用とできる仕組みは存在する。他の大学のやり方を見ながら進めたいが、上限を撤廃して万が一その職員に給与を払えなくなった時に誰が責任を取るのかという問題があることはご理解いただきたい。

組合の事務室

 よく前を通るので事務室の状況は理解している。しかしサステナブルキャンパスという観点からは新しい建物を増築せずに既存の建屋を統合するという方向性で、なかなかスペースの確保ができない点をご理解いただきたい。