機関紙記事「団体交渉報告:今回も非常勤職員の賃上げ回答を得る!」(2023年12月号)

 北海道大学教職員組合の機関紙「ほくだい」で2023年度の団体交渉の結果を報告しました。


団体交渉報告:今回も非常勤職員の賃上げを得る!

 組合が10月6日(金)付けで申し込んだ賃金・労働条件に関する12項目の団体交渉が12月4日(月)に実施されました。要求事項に対しいくつかのプラス回答がありましたが、今回も特筆すべきは、前回に続いて非常勤職員の賃上げの回答を得ることができたことです。
 まず非常勤職員の日給・時給の単価上限改定は、2010年の単価の定額化からほぼ変更がなく、昨年度実に12年ぶりに時給換算で「+30円」の賃上げがありました。これにより、最高時給が、札幌地域の事務・技術系で「1,120円」から「1,150円」になりました。今回、組合はさらに要求事項を精査し、非常勤職員の時給が、2010年以前は正規事務職員の月給を元に計算されていたことを示しました。この原則に従えば、正規事務職員の月給が段階的に賃上げされた現在、非常勤職員の時給もやはり同様に賃上げされなければならず、現在のその適正時給は「1,260円」であることを示しました。この要求に対し、大学も現在の非常勤職員の時給が正規職員の水準に比べ低くなっていることを認め、時給単価に新たに「1,180円」となる区分をもうけることを回答しました。これにより、昨年度同様に最高時給が「+30円」賃上げされたことになります。さらに、研究林に勤める森林技能職員(契約職員)は定年退職する年齢まで既に日給単価設定があり、最高時給を新設しても効果がないため、日給単価で「+50円」の「ベースアップ」をすることを回答しました。その上、大学は今後しばらくは正規職員と非常勤職員の給与格差を縮小させる方針で検討すると回答しました。このように、基本給という労働条件の基幹部分について組合が正規職員との格差縮小を求めて大学がそれに応じたことは非常に大きな成果だったと言えます。

 一方で、非常勤職員の雇い止め廃止に関する要求に対しては、大学は現在の運用方針が適切なものであると回答し、雇い止め廃止要求に対しゼロ回答でした。組合はこの回答に対し、もはや法律的に違反かどうかではなく、雇い止めを廃止して経験ある人材を確保し続けなくては、労働人口が減り続ける今の日本で北大は人材獲得競争に負けてしまい、大学の研究・教育能力が大きく削がれてしまうことを伝えました。また、雇い止め方針により既に現場レベルで正規職員や非常勤職員にともに大きな負担がかかっており、速やかに雇い止め廃止に向けた調整を進めてほしい旨を伝えました。
 短時間勤務職員へ期末・勤勉手当(ボーナス)を支給するよう要求したことについても大学は、組合が主張する法的なロジックは北大には適用されず、期末・勤勉手当を短時間勤務職員へ支給していない運用は適切であるとの回答でした。ここでも組合は、法律的な違反に関係無く、短時間勤務職員が勤務時間の違いこそあれ、契約職員と同様に大学へ貢献している以上、短時間勤務職員への期末・勤勉手当の支給が「0円」となることは同一価値労働同一賃金の観点からおかしいことを主張しました。
 正規職員の給与については、大学は人勧(人事院勧告)通りの実施を今年度の4月に遡って実施することを回答しました(年俸制の引き上げも含む)。北大は正規職員の給与水準については法人化後はほぼ人勧の実施にそって実施しており、今回も同様の実施を行う形となりました。ただし北大は、令和3年度の引き下げ人勧については4月に遡及させておらず、これにより職員の給与引き下げは人勧より小さいものとなりました。組合は引き下げを4月へ遡及させなかったこの措置を当時評価しました。今回は引き上げの人勧ですが、引き上げ人勧は引き下げ人勧とは逆に4月へ遡及させることで支給額を増やすことになりますので、4月への遡及を評価する旨、大学へ伝えました。
 その他の項目は結果は次の通りでした。組合は今後も、賃上げ・労働条件に関する団体交渉を他の団体交渉とは独立して行い、これらの改善に関する交渉や意見交流を大学と続けていく予定です。賃上げ・労働条件の改善に興味がある組合員は、ぜひ次回の団体交渉にご参加ください。