機関紙記事「北大理学部における「追い出し部屋」報道について」(2024年5月号)

 北海道大学教職員組合の機関紙「ほくだい」に毎日新聞で報道された追い出し部屋に関する記事を投稿しました。


北大理学部における「追い出し部屋」報道について

 既に新聞やウェブニュースでご覧になった方も多いかも知れませんが、2024年5月9日(木)の毎日新聞・朝刊1面及び3面において、「北大教員追い出し部屋」という記事が掲載されました。またその後他メディアでもこの問題は大きく報道されました。
「学生の指導ができなくなって、4年目の春が来た。」という書き出しで始まる毎日新聞の記事では、本学の理学研究院化学部門における複数の研究者が、まるで部門から「早く出ていけ」と言われんばかりの待遇を受けている状況が紹介されました。
 記事ではそうなる状況にいたる経緯も取材されており、理学研究院化学部門の教授会に相当する「講座委員会」が2020年度に作成した「内部基準」において、新たに赴任した新任教授がいわゆる「旧スタッフ」を引き受けないことを承認したことや、それが部門内では適切に共有されていなかったこと等が示されています。
 記事では他にも、「講座制」という、教授をトップとした研究室運用の在り方についての批判的コメントが掲載されました。ただしこの点については、本学でいわゆる「講座制」タイプの形態を持ちながらも、今回の化学部門のような問題を発生させることなく研究を行えている部門や研究室が存在することには注意が必要で、構造的な問題を強調しすぎてハラスメントとしての問題点が軽視されることがあってはなりません。また、仮に部門の研究体制について部局等に独自に決定する権限があったとしても、それを「密室」で決めてしまうのは明らかに民主的な手続きではありません。本件は本学研究者に対して適切な説明責任や情報共有、あるいは議論が行われなかったという学内民主主義の観点からも批判されなくてはなりません。
 本事件については毎日新聞での掲載を受け、求めに応じてこのような不適切な処遇を受ける研究者を支援する準備を執行部で既に進めています。大学が研究者の教育・研究を行おうとする意志を蔑ろにする時に、組合は常に研究者の側に立つことを行動でもって示す準備があります。